世界自然遺産は5つだけ|「もののけ姫」の舞台も!世界に誇る日本の財産。
もくじ ――
世界へ誇る日本のかけがえのない自然の財産を紹介。
__ちなみに世界文化遺産とはちがうものです!富士山は「世界文化遺産」であって、「世界自然遺産」ではありません。 __
「世界自然遺産」へ登録されるには、「自然美」・「地形・地質」・「生態系」・「生物多様性」の4つの評価基準のいずれかを満たす必要があります。
具体的にどんなところが評価されたのでしょうか。
また今回は日本にある、将来にわたり保全すべき遺産となった自然をもピックアップ します。
・選定理由
・周辺の自然鑑賞スポット
を紹介いたします。
日本の世界自然遺産はいくつ?
日本には、計5箇所 が認定されています。
・知床(北海道)
・白神山地(青森県秋田県)
・小笠原諸島(東京都)
・屋久島(鹿児島県)
・奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(沖縄・鹿児島)
世界自然遺産として、それぞれが 「自然美」「地形・地質」「生態系」「生物多様性」 のうち、
どの条件を満たしているか詳しく紹介していきます!
①知床・北海道【生態系】【生物多様性】
面積は、知床半島の「知床国立公園」とほぼ同じ。国立公園を囲むように広がります。
知床を代表する 「知床八景」 の 知床五湖・カムイワッカ湯の滝・フレぺの滝・オシンコシンの滝・知床峠・プユニ岬・オロンコ岩・夕陽台 が有名です。
他にも知床観光船や自然体験、知床での宿泊やグルメも見逃せません。
つぎに知床が世界自然遺産として評価されたポイントを紹介します!
【生態系】の価値
冬、知床の海を覆いつくす流氷。流氷がもたらす海の恵み
一緒に運ばれてくる栄養分により、プランクトンをはじめ、アザラシなどの海獣類、海鳥やオオワシなど鳥類、鯨類などの海洋生物を育みます。
海の豊かさを体一杯に蓄えたサケの仲間は、ふるさとの川を遡り、ヒグマや猛禽類の重要な植物資源となります。
食べ残された魚もキツネなどの糧となり、最後は土に還り知床の森を豊かにします。
サケ類がのぼる川を結ぶ海から陸にわたる食物網。
生物同士の密接なつながりが、評価される生態系を形づくっているのです。
流氷ウォーク
世界にひとつだけの 流氷ウォーク「オホーツク海の上」で、白銀の世界を体験できます。
流氷の天使「クリオネ」も見られるかもしれません。
【生物多様性】の価値
知床には、動植物ともに北方系と南方系の種が混在していたり、シレトコスミレやシマフクロウシレトコスミレなどの絶滅危惧種や希少種、固有種を含む幅広い生物種が生息・生育します。生物の多様性を維持する重要な地域とみなされました。
海から高山まで、知床の多様な環境によって生物多様性を支えられているのです。
「天に続く道」約11.1マイルの直線【絶景ドライブ・ツーリング】
ここは知床であっても、世界遺産区域ではありませんが、
知床方面で車を利用の方は必ず行ってみたいスポットです。
遠くに見えるオホーツク海に落ちる夕陽は絶景ですね。駐車場はありませんが、展望台から眺めるのもいいかも。
②白神山地・青森県秋田県【自然美】【生態系】
何千万年前の生きる化石。
【生態系】「上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。」
世界最大級のブナ林は、地球が温暖だったときは北極周辺に分布していたのですが、気候が変わってブナ林が南下しました。
日本では、南下を妨げるものがなかったことから、多くのブナ林が分布し、現在では日本特有の木として確立しております。
そのため、白神山地には3000万年前、北極周辺に分布していた当時に近い原始的ブナ林 が残されています。
世界に誇る遺産として保護しなければならない理由がわかりますね。
【入山注意】広大かつ美しい未知なる自然は「もののけ姫」のような世界
世界最大級の約13万haブナ林が青森県南西部と秋田県北西部にまたがっており、
世界遺産地域は「核心地域」と「緩衝地域」に区分されています。
核心地域
青森県側の核心地域は奥地であり、ほとんどが「指定ルート(舗装・標識無し)」です。
指定ルートを利用する場合は、入山手続き等が必要です。
緩衝地域
核心地域が厳正な保護を行っているのに対し、自然環境の保全を基本として利用との両立を図っている地域です。
核心地域で過ごすなら、ほぼ日帰りは難しいので準備が必要となります。
緩衝地帯などの周辺の一般的に利用されている登山コースや散策コースでも十分に白神山地を楽しめます。
「もののけ姫」の舞台となった白神山地 で、より自然の世界に浸りたい方は許可を貰って
核心地域を散策するのもいいかもしれませんね。
③屋久島・鹿児島県屋久島町【自然美】【生態系】
厳密にいうと、
世界自然遺産に指定されたのは屋久島ではなく、島の21%が登録地域なのです。
屋久島国立公園 としては世界遺産の地域も網羅しています。
世界自然遺産に選ばれるために、2つの条件を満たしている のは日本では屋久島のみです。
【自然美】(最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含しする。)
・樹齢7200年といわれる屋久杉
・日本の自然景観をつくる固有植物のスギのすぐれた生育地であること。
【生態系】(陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。)
・小さい島でありながら、南北2000㎞におよぶ日本の自然が詰め込まれている
・急激に減少している照葉樹林が原生状態で残っていること。
【ジブリの舞台になった】白谷雲水峡
屋久島自然休養林であり、世界遺産指定区域ではない。
「1か月35日雨が降る」といわれる独特な気候の自然を楽しみにいきたい。
「日本の貴重なコケの森」に選定されたり、「もののけ姫」の原始の森のモデルらしいです。
苔むす森の白谷雲水峡は、神聖な雰囲気が漂っていて、そこらで「こだま」が歩いていてもおかしくありません。
・ジブリから学ぶ
「屋久島」と「白神山地」の舞台をモデルにした「もののけ姫」も気になります。当作品では、自然と文明の共存を謳っているので何か世界自然遺産と関係性があるのではないのでしょうか。
歴史としては、農業があまりできない町民が伐採を通じて財政を保っていました。しかし、高度経済成長期をむかえてから木材が枯渇しはじめ、不安の声が上がるようになり、縄文杉が全国的に有名になったこともあって、1980年代には伐採が禁止されるようになりました。
世界遺産としてのブランド化で経済面の向上ができる一方で、環境問題に直面 しています。
あまりに観光客が増えたことで、島民は聖なる山が観光客に「奪われる」という意識が生じているとのことです。
地元の人々の助けがあって自然を楽しめるということを忘れないようにしていきたいですね。
④小笠原諸島・東京都【生態系】
小さい島にも関わらず、固有種の数が多いことや陸産貝類(カタツムリの仲間)や植物の 生態系が、貴重な証拠として評価 されました。
小笠原諸島は常夏の島で海のイメージ強いですが、生息数の少ない動物を天然記念物にし、外来生物駆除に力を入れています。
生息する鳥類のアホウドリやメグロは特別天然記念物(天然記念物の中から、世界的にまたは国家的に価値が高いもの)に指定されています。
世界自然遺産としての 小笠原は、希少かつ重要な動植物の保護が推進されています。
また、筆者の見解として、小笠原諸島が希少な動植物に恵まれてる理由は、
開拓がはじまったのが19世紀あたりからで人間が生活する空間ではなかったことが挙げられると思っています。
そのため、開拓した側の人間が如何に動植物と共存していくかが、世界遺産として遺すためのカギになるかもしれません。
【南島・東洋のガラパゴス】360°の絶景
父島から南西の無人島の南島は、秘境「ジニービーチ」や「コペペ海岸」のサンゴ礁や熱帯魚の群生、夕日が有名です。
世界遺産登録にむけて、地質でも推薦をしていました。
その理由として、約1500年前の「ヒロベソカタマイマイ(カタツムリ)」の化石が点在していることが挙げられると考えられます。
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島【生物多様性】
独特な島の地形を利用し、発達した「生物多様性」が世界遺産登録の評価基準になりました。
【おまけ】なぜ白神山地だけ国立公園ではないのか?
5つの世界自然遺産の中で、
唯一「白神山地」だけ国立公園ではないのです。
なぜか?
・国立公園は「日本を代表する自然の風景地」として保護・利用する目的が強いです。
白神山地はほとんどの区域が許可なしでは入山できなかったりと、利用(レクリエーション)を勧めるような場所ではないからです。
・一方で世界遺産には共通として「後世に残す遺産」という認識から維持・保護の意味が強いです。